子育てひろば みどりのへや
川崎市麻生区にある専門職のいる子育てひろば
子育てについて

子育てのイライラとの付き合い方

子育て中の皆さんのお悩みでよくあるのが、

「どうしてもイライラしてしまう」
「感情的に怒りたくないけど、今日もどなってしまった」
「そんな自分に自己嫌悪」
。。。

こうした子育て中の「イライラ」に関するお悩みです。私も日々「イライラ」に支配されやすく、何とか穏やかに過ごしたいと切実に思っている一人です。今日はこの話題について取り上げて一緒に考えていきたいと思っています。

コントロールできるものとできないもの

「イライラ(怒り)」は「二次感情」と言われます。二次感情とは、それ単体では存在しない感情のこと。二次感情の奥底には、色々なネガティブな一次感情が存在しています。

例えば、「心配」「いやだ」「痛い」「悔しい」「はずかしい」「怖い」「辛い」「寂しい」「ひどい」「羨ましい」などなど。。。

何かの出来事が引き金となってイライラが起こる場合、自分の中の大事な価値観が侵害されていたり、傷ついたりしている可能性があります。また、「怒り」→一次感情が一つとは限らず、色々なマイナスな感情、ネガティブな考えが積み重なって、ごちゃごちゃに混ざりあって、容量オーバーになって「怒り」として現れる場合もあります。

さて、色々な出来事やその時いる環境によって種々の感情は引き起こされていきますが、その中にはコントロールできるものコントロールできないものが含まれています。

例えば「子どもがご飯を早く食べてくれない」という場合。
「早く食べなさい!」といくら𠮟りつけたりイライラしたとしても解決には繋がりません。

食べるスピードには咀嚼のスピード、一口の大きさ、口の中に入れられる容量、子どもの意欲や集中、食具の使い方、色々な要因が重なり合っていて、必ずしも親がコントロールできるものではありません。基本的には、他者のことはコントロールができないと言えます。

にも関わらず、子どもがやることについては親の思う通りにコントロールしたい、という気持ちが沸き起こりやすいのです。「親には子どもをちゃんとした子に育てる責任がある」と頑張りやすい人の場合は、特に色々な子どもの行動が目につきやすくなり、良かれと思って考えていることが、実は日々のイライラの基になっていることもあるのです。

逆に上に挙げた例の状況でコントロールできることとすれば、初めからお皿に盛る量を少なくする、テレビを消したり刺激になるようなものを片付ける、食具を手にあったものに変えてみる、おかずを食べやすい大きさに切り分ける、口に運んだら肯定的な声掛けをする…そういった環境調整はできると思います。

それでもなお食べるのに時間がかかるようであれば、それは親自身がコントロールできる範囲を超えていることなのかもしれません。

コントロールできないことは、他者の行動や気持ち、天気や気温など気象に関すること、法律や制度、経済状況によっては住む場所など…

コントロールできることは、自分自身の考え方や捉え方、自分の具体的な行動など。自分の意欲さえあれば、行動や今の立ち位置、考え方は変えていけると言えます。

今「イライラ」していることが、自分にコントロールできることなのか、できないことなのかを心の中で、あるいは書き出して、一旦選別してみるのも良いかもしれません。コントロールできないことであれば、できるところまでをやった後はイライラを手放してしまうのが得策です。

怒りには制限時間がある?

「怒り」にも、過去の経験を引きずったりして持続するものと、突発的に生じてくる「イライラ」とがあるかと思います。

後者の突発的な「イライラ」の持続時間は、「6秒間」と言われることが多いです。
なので、心の中で6秒を数えたり、タイムアウト法といって別の部屋や場所に一旦行き、落ち着くまで待つといった方法がおすすめされることも多いです。

しかしその方法を試してみて、思うことは多いのです。

「6秒なんて、あっという間。6秒経っても、ちっともイライラは収まっていないじゃないか…。」と。

なぜ6秒数えたのに、まだイライラは持続しているのか。
それは、落ち着く方法をとっているようでいて、実は頭の中での思考が止まっていないからかもしれません。「なんであの子は。。。」「こんなにしてあげているのに。。。」例えばこんな考えが、自動的に頭に浮かんできているかもしれません。

思考が動き続けているなら、焚き火に薪をくべているのと同じなのではないでしょうか。

そこで、タイムアウト+単純作業のダブル技をおすすめします。

目の前の状況にイライラしたら、場所を変えて、全然違うこと(例えば掃除でもいいですし、料理や洗い物、洗濯物を干す、畳む、ラジオのながら聴き等。)で手を動かしながら時間経過を待つというのもいいかもしれません。あまり負荷なくできる作業がいいでしょう。そして作業をしながら、触った感触や匂い、料理であれば段取りなど、その作業自体に注意を向けていきます。

ちなみに私は、イライラしてどうしようもなくなると、例えば絵を描くことに少しの時間集中することがあります。今の感情はどんな色で、どんな筆圧でどんな形で…。そんなことを考えていると、気づけばイライラの感情と間がとれるようになっていることが多いです。

そのイライラ、境界線を越えているかも?

「境界線」というイメージ、皆さんはどのようにもつでしょうか。自分と相手の陣地を分ける線であったり、国と国を分ける国境線のようなものを想像する人もいるかもしれません。「こころ」に関する境界線の場合、それは「自分」と「相手」との間にあるものであったり、「自分」の中にあるものだったりします。

その境界線がゆるいと、例えば自分の「〇〇すべき」を相手に押し付けてしまったり、相手も自分と同じように思っているだろう、と自分の考えを拡大解釈してしまうことにも繋がります。

また、自分の中のイライラの「基準」がぶれやすい場合も、境界線がぶれやすくなります。自分の機嫌がいい時はお着替えも全部手伝ってあげるのに、機嫌が良くない時は「自分でしなさい」と言って手伝わない等がそれにあたります。

このように、自分の考えはあくまで自分のものであるという「境界線」を持てていないと、相手を振り回したり、相手がうまく動いてくれないとイライラを募らせてしまうこともあります。

怒りは「悪いもの」?前向きな行動の原動力になる場合だってある

ここまでイライラ、怒りについてと、その付き合い方についてお話してきました。

でも、怒りは必ずしも悪いことばかりではないという側面もあります。

例えば「負けて、くやしい!あんなに練習したのに!」と、くやしい気持ちと怒りが混ざり合って生じてきた場合、その気持ちは次に「勝つ」ための原動力にもなるかもしれません。

「こんな人にはなりたくない」という怒りが、その人を反面教師にしてよりよく生きていこうとする価値観へと繋がるかもしれません。

イライラ、怒りはずっと強さが持続して持っているとしんどいものですが、沸騰しそうになったら逃がしたり、自分が怒りをもつ理由やパターンを自分なりに考えたりして理解し付き合っていくことで、内なる炎にもなっていくものです。

イライラ、怒りの対処や理解には色々な考え方がありますが、「自分」に目を向け、知ることでイライラと付き合っていけたらいいのではと感じています。

皆さんも、イライラエピソードやイライラへの対処法、もしよかったら教えてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

<イライラやアンガーマネジメントで参考にした本>

自分の中の子育ての「べき」と「イライラ」に気づき、子どもへの理解を深めていく内容です

保育者のための、となっていますが、アンガーマネジメント全般の知識や活用法が詳しく載っていて保護者の方にもおすすめです
ABOUT ME
Kashiwagi
専門職のいる子育てひろば「みどりのへや」の代表で、臨床心理士・公認心理師。2児の母。子育て中の親と子が「自分を大切に」思える社会になるよう、居場所づくりを大事にしています。
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