早いものでこの記事を書いている今現在、もうすぐ12月というタイミングです。
暖かい日もちらほらありますが、寒さが厳しい季節になってきました。
この時期、親を悩ませることの一つは自分や子どもの体調管理ではないでしょうか。
インフルエンザやいろいろな感染症が流行る時期、体温調節も大変ですし、治ったと思ったらまた体調を崩したりと、コントロールしきれない体調不良も多いことと思います。
少しいつもと違うな?風邪のサインかな?子どもに何かの不調を感じても、病院に連れていくべきものなのかどうか、タイミングがわからないこともあるかもしれません。
そんな時、お母さんは「何かいつもより元気がなさそう」「体がぼーっと熱い気がする」というような体の状態を子どもから受け取って、「何かおかしいな?」「何かいつもと違う気がする」という勘を働かせて子どもを受診させるかどうかの判断をします。
実はこの「何かおかしいな?」という感覚が、とても大事なのです。
お母さんが心配だと思った時が子どもを受診させるタイミング
お医者さんや医療従事者の方から
「お母さんがおかしいと思ったら病院に行きなさい」
「お医者さんの大丈夫が聞けたら、お母さんも安心するだろうから」
こんな言葉をかけてもらって安心したというお話も耳にします。
お母さんが「大丈夫かな?」と思うとき、どんなところで「母の勘」が働いているのでしょうか。
身体に注意を向けてみるとわずかに緊張していたり、こわばっていたり、気を張っていたりするかもしれません。そういう、うまく言葉にはできないけれど、動いたほうがいいような、落ち着かないような、「感覚」が生じていることに気づくかもしれません。
そういう何かまだ言葉になりきらないような、でも確かに感じられる感覚のことを、心理学では「フェルトセンス(意味感覚)」と言ったりもします。
意味を含んだからだの感じ~フェルトセンス~と子育て
フェルトセンスとは、「何か意味を含んだからだの感じ」のことです。
この概念は、「フォーカシング」という心理療法を考案したユージン・ジェンドリンによって見いだされ、名前がつけられました。
忙しない日常の中ではあまり普段意識していない人が多いかもしれないのですが、誰しもが持っていて、日ごろ感じているものと言えます。
実は、子育てとフェルトセンスとは深い関係にあると言えます。
子育ての中では、こんな経験があるかもしれません。
「この泣き方は…お腹が空いたのかしら」
「今は縦抱きがよさそう」
「いつもと泣き方が違うぞ…」
「何だか居心地がわるそう」
「ちょっと不安そう…抱っこしてあげようかな」
こういう一つ一つの場面で、お母さんは子どもを観察して「こういう様子だ」と見た情報を基に捉えてもいますが、「何だかこんな感じがする」という自分の身体に感じられる感覚も参考にしながら目の前の子どもに対する行動を選択しています。
子どもが欲求不満や不快感を感じた時、泣いたり、むずがってみたりして不快感を表現し、お世話する大人がそれを受け取り「取り除こう」と行動することで、不快感が解消されます。
そういう一つ一つの積み重ねが、「この世界に対する安心感」を子どもの心の中につくっていきます。
自分の感覚を大事にすることで安心感をつくる
言葉が生まれる以前の段階では、スキンシップや感覚を通したコミュニケーションが活発に行われています。お母さんは、お母さんの「勘」という名の感覚を働かせながら、毎日大きな仕事をしているのです。
お母さん自身のまだ言葉にならない体の感じ(フェルトセンス)に気づいたら、その感覚を大事にすることで自分や子どもにとってより安心できる選択ができると思います。
今日も無理せず、自分の感覚を大事に過ごしていきましょうね。