子育てひろば みどりのへや
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この感情の名付け親になろう

皆さんは、感情についての語彙をどのくらい持っているでしょうか?

うれしい、たのしい、すがすがしい、かなしい、はらだたしい、むかつく、くるしい、さびしい…

忙しい毎日を生きていると、つい「自分がどう思っているか」よりも「今どうするべきか」「いつまでに何をやらないといけないのか」というタスクに追われがちになります。

問題解決や具体的な課題をこなす「べきモード」のスイッチが入ったまま過ごしていると、車のアクセルを踏み続けているような状態になり、交感神経が優位になります。

その傾向が顕著であれば、体に力が入りやすくなったり、睡眠食欲に影響がでたり、身体の疲れのサインに気づかず、体調を崩してしまうことも。

一日の中で少しの時間立ち止まって、「私は〇〇と感じている」と自分を振り返る時間を持つことも大切になってきます。

「思考」モードから意識的に「感覚」モードへ。体と心は分けることができないように、「考え」ばかりで自分の「からだの感じ」や「感情」にあまり目が向かない生活をしている時は、ぜひ「自分は今どんな風に感じているかな」と自分をモニタリングする習慣を持って見ましょう。アクセルがききすぎている時は、ブレーキの役割を果たす副交感神経の働きも重要です。できればお気に入りの飲み物を飲みながら、力を抜いた状態でご自愛時間をもってみましょう。

感情にはいろいろな表現の仕方がある

自分が今どんな感じをもっているのか。冒頭にあげたように、「うれしい」「かなしい」などはっきりことばにできる場合もあると思います。でも、ことばにしきれないような、何だか胸のあたりがざわざわして…という感覚レベルの「感じ」のこともあります。そんな時は無理に言葉にせずそのまま受け止めて、「今、こんな感じなんだ」とそのまま受け止めるだけで十分です。

「感じ」の表現には、次のようなバリエーションがあるかと思います。

・はっきりした「ことば」で表されるもの

うれしい、ほこらしい、たのしい、かなしい、らくたん、がくぜんとする、おこっている、むかつく、さみしい、ここちよい 等…

同じ「おこっている」でも、

イラっとするむかつく頭にくるはらわた煮えくりかえる激昂する

など、段階によってしっくりくる表現が異なってくると思います。

・イメージで表されるもの

シンボルとしてのことばだけでなく「まるで澄み渡った空が眼前に広がっているイメージ」といったように、視覚的なイメージで表すことができるような表現になります。体の感じを伴うこともあります。ことばにならなくても絵に描いて表されることもあります。

言語化するときは「まるで~のようだ」がキーワードになるでしょう。

・体の「感じ」として表されるもの

はっきりしたことばや視覚的なイメージは思い浮かばないが、「なんだか肩のところ辺りに、ねばねばしたものがまとわりついて重たい感じ」などのように、体の一部に注意を向けてみると感じられる、ことばになる以前のあいまいな感覚を伴う表現のこと。

あくまで「風邪気味で頭痛がする」「咳がでて喉が痛い」など体調によるものではなく、何かもやもやとしている時に体に感じられている感覚のことを指します。

・自分の過去の体験と結びつけられる感覚があるもの

はっきり言葉にはしきれないが、以前あの場所に行った時のあの感覚に似ている…のように、以前感じたことのある感じと似た感じだなと関連付けられるものです。デジャブ、だったり、何だか理由はわからないけど思い出した、と感じられることもあるでしょう。時間が経って、ことばになっていく場合もあります。

感情の名付け親になろう

日ごろ、感情や感覚をゆっくり意識する時間はないかもしれませんが、色々な表現の仕方をもっていると、より自分にしっくりくる言語化ができるようになります。

自分が「しっくりくる」ことばを見つけるということは、実はとても大切です。ことばになりきらなくても、「何となくこんな感じ」でも構いません。それでしっくりとしているのならそれがその時のありのままの感じなのですから。感情やその名前は、一般的なものに当てはめるというよりも、自分だけのオリジナリティあるものだと考えて、色々なことばをあてはめてみるのも面白いかもしれません。

自分に「しっくり」くる感じが持てると、自分で自分をより分かっているという感覚が増し、大事にしていくことができます。また、自分以外にも、大事な人や子どもに対して感じていることを伝えやすくもなります。

先日、絵本作家のえがしらみちこさんの「いまのきもちはどんないろ?」という本を子どもと読みました。今のきもちを色に例えるなら何色?など一緒に子どもと考えられる内容になっていてよかったです。絵本などを題材にしながら親子時間で感情、きもちについて考えてみるのもいいですね。

ぜひ感情の名付け親になって、自分に寄り添う時間をもってみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
Kashiwagi
専門職のいる子育てひろば「みどりのへや」の代表で、臨床心理士・公認心理師。2児の母。子育て中の親と子が「自分を大切に」思える社会になるよう、居場所づくりを大事にしています。
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