子育てひろば みどりのへや
川崎市麻生区にある専門職のいる子育てひろば
関わり方について

「仲裁」と「仲介」の違いを子育てで活かすロールプレイ

先日、区で開催されているペアレントトレーニングの講座にスタッフとして参加しました。全4回の講座を通して、親の目線と子どもの目線、両方の目線を体験しながら自分の生の「気持ち」や「感じ」に目を向け、日ごろの親子の関わり方について考えることができるプログラムになりました(以前の投稿で取り上げた「パーソナルスペースのワーク」もこのペアレントトレーニングのワークの一つとなっています。)。

その中から、今回の投稿では「子ども二人がおもちゃを取り合って喧嘩している場面」を想定したロールプレイについて取り上げ紹介していきます。

「仲裁」、「仲介」、何が違う?

「仲裁」と「仲介」。似た言葉ですが、どんな違いが思い浮かぶでしょうか。

「仲裁」は、大人が二人の子どもの行動を正そうと説得したりするニュアンスが含まれます。「子どもの側が、間違ったことをしている」という視点が、そこには感じられます。子ども目線に立ってみると、「自分の気持ちは無視されている」「分かってもらえない」と不満を抱いたり、怒ったり、諦めたりする気持ちが沸き起こるかもしれません。

「仲介」はそれに対して、大人がそれぞれの子どもの言い分に耳を傾けて、それをお互いにも伝えていくことです。ここには「子どもにはそれぞれ、子どもなりの考えがある」という視点が感じられます。そのため、大人も子どもの言うことを「大事に」聞こうとします。子どもの目線に立つと、大人が「受けとめてくれた」「分かってくれようとしている」と感じられるのではないかと思います。

ロールプレイでは、よくある子ども同士の喧嘩の場面を想定して、上記の二つの態度の違いを実際に演じてみます。

ロールプレイをやってみる

ロールプレイでは3人一組となり、2人が子ども役、1人が親役となり2つの関わり方を演じていきます。一つは大人が解決法を決めるパターン(仲裁)、もう一つは子どもたちの言い分をそれぞれ聞き、それを真似しながらお互いの子に伝えていくパターン(仲介)です。

ロールプレイの中では、大人役をやる中で「仲裁」パターンは割とイメージしやすい方が多かったようです。「ほら、〇〇くんが使ってたんだって。あっちをやろうよ」と違う所へ目を向けさせる声掛けをしたり、「おもちゃが壊れちゃうよ!喧嘩はやめなさい!」と諫めるような関わりをしたり。普段の子育てでもこちらの仲裁パターンを使っているお母さんが多いようでした。

対して「仲介」パターンの関わり方では、やや困惑するお母さんが多いようでした。一対一で子どもの話を聞く場合と比べて、二人の言い分が衝突しているような状況では一人ひとりに相手の思いを伝えても事態が解決しないことも多いようでした。何回も、「〇〇ちゃん、~~って思っているんだって」「△△ちゃん、~~したいんだって」と仲介しながら伝えていても、同じ主張を繰り返す子に「どうすればいいんだろう…」と戸惑う方もいました。

背負わず、委(ゆだ)ねてみる

仲介してもなかなか解決しないとき、「どうしたらいいんだろうね…」とお母さんも一緒に悩んでみるというアイデアが生まれました。解決に関してお母さんがすべてを背負う必要はなく、子どもたちにも考えてもらおう!という介入の仕方は特に「頑張り屋さん」のお母さんにとって新しい視点となったようでした。

子ども役の体験としては、「仲裁」パターンでは「無理やりやめさせられた」「納得いかない」という気持ちが強いようでしたが、「仲介」パターンではすぐに事態の解決に至らなくても、「自分の思いを求められて、聞いてくれた」というポジティブな気持ちが起きていたようでした。大人に言われるがまま行動するのでなく「どうしたらいいか」を自分なりに考えてみることは、「自分のやりたいこと」について言葉にしつつ、「相手の気持ちを聞く」練習にも繋がるのではないかと感じます。

まとめ

児童館や公共の場では、子ども同士の距離が近くなったり同じものをめぐって喧嘩になる場面もあるかもしれません。そんな時、このロールプレイの話や、「仲裁」と「仲介」の違いの話を思い出してみてもらい、関わり方に取り入れてみてはいかがでしょうか。

今回紹介したペアレントトレーニングの詳しい内容についてはこちらの本に載っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
Kashiwagi
専門職のいる子育てひろば「みどりのへや」の代表で、臨床心理士・公認心理師。2児の母。子育て中の親と子が「自分を大切に」思える社会になるよう、居場所づくりを大事にしています。
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