川崎市多摩区で先日行われた「みんなのロフト」の活動には、子育てひろばみどりのへやblogの管理人もスタッフとして参加しました。
「子育てひろばみどりのへや・大きな樹」は子育て支援、親子支援を目的とした場所ですが、「みんなのロフト」は特に参加される方の属性を限定していません。
この企画の共同の開催者である「マチノパズル」さんは、稲田堤で居場所づくりや地域での活動をされています。美容室の休業日に会場として行われている「まちライブラリー」は、親子連れだけでなく子ども一人でふらっと来る場所にもなっていて、夜も更けてくると大人や大学生が集まり、皆でお酒を飲みながら深い話をする…色々な世代がその場を訪れているようです。
みんなのロフトも同じように、大人の方、マチノパズルと繋がりのある方が中心に集まってきてくれました。お昼過ぎからおやつ時にかけて、1階のかき氷やさんを利用した親子連れの方がふらっと来てくれたり、赤ちゃん連れで訪れてくれたご家族もいました。日曜開催だったこともあり、お母さんだけでなくお父さんも一緒に、ご家族皆さんで来てくれる方もいました。その中には子育ての大変さや子どもの心配なことに関して話してくれる方もいました。
縦長の室内はすぐにいっぱいになり、参加者の方同士の新しい出会いもありました。「これからこんなことがしてみたい」、展望や作戦会議をする人も。私の息子も途中から参加し、下の階のかき氷やさんのお手伝いをしたりして、交流を深めていました。
私たちスタッフも、やってみたことで色々な発見があり、自分たちも楽しみながら無事一回目の開催を終えました。
誰のためのどんな居場所か
今回居場所を「つくる」試みをして感じたことは、誰がどんな風に繋がってくれる場所になるのか、その推移をこれからも見守りたいなというわくわく感です。この場所を続けていくことで、今回は来れなかった人もどこかのタイミングでこの場所を知るかもしれない。その時に、この場所はどんな風に見えているのか。色々な入り方、色々な参加の仕方ができる可能性や余白を含んだ場所にしていきたい。私たちスタッフは色々な人に安心感をもって参加してもらうために、どのような工夫をしていけるだろうか…どんな環境設定が良いか…次に向けてそんなことを考えています。
主催のスタッフで先日開催後ミーティングをして、「これからも長く続けていきたいね」という思いを確認し合いました。
その実現のために大事なことは、「無理はしない」ということ。負担を背負うところまではやらない、これも活動を続けていくためには大事な部分かと思います。
ここで、ある書籍の一説を紹介します。
~政策課題としておこなわれる居場所づくりは、「当事者が、その場所を居場所として感じ、認識する」居場所を実現しようとするものではなく、「居場所が無い人に対して、居場所という手段を提供することを通じて、様々な目標を達成させようとする」ことにもつながる~
「ここがあなたの居場所ですよ」と誰かに言われたとしても、そこは居場所になりません。「目的としての居場所」などというものはなく、結果として事後的に「この場所は自分にとっての居場所だな」と認識されるものなのです。
(阿比留久美著『孤独と居場所の社会学』大和書房,2022 より引用)
人がどこかの場所を自分にとっての「居場所」と感じるのは、それぞれの個人的な経験や物語を経て結果的にそう感じるのであって、「みんなの居場所を作ります」というのは実はある種の矛盾をはらんでいるのです。でも、だからこそ、まずはスタッフ自身がその場所を楽しいものにしていく、その中で色々動きたいように動いてみる、そういう実験的雰囲気や「遊び」が大事になってくるのではないかと考えています。
スタッフも参加者も同じで、その場をどんな風に体験し、どんな存在になっていくかは個人個人違ってくるし、それでいいのではないかと思っています。
サードプレイスでひとりひとりがしたいこと
都市社会学という分野の中では、空間を3つに分け、ファーストプレイス・セカンドプレイス・サードプレイスと整理しています。ファーストプレイスの代表は家庭や家族、セカンドプレイスの代表は職場や学校などの日中活動することで報酬や知識が得られる場、日常的に通う場が挙げられます。
サードプレイスは、家でも職場でも学校でもない、インフォーマルな場を指しています。コロナ禍を経て、社会的なつながりが一度減ってしまったことで、孤立や孤独を感じる人の割合は増えたといいます。サードプレイスへの注目は、そうした「居場所のなさ」を抱える人が増えた社会を背景として増しているところがあるかもしれません。
訪れたひとりひとりと話をして、どんな人なのかを知り、関係を築いていくこと。その先に現れるのが「居場所」であるのかもしれないと思って、その場所を継続していきたいと思います。
今度この本についてもう少し掘り下げた記事も書きたいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。